2023.11.07-18 Paris

 

 

 
久しぶりにパリに帰るせいか、いつにも増して大荷物。毎回思う事だけれど、一人では階段も下ろせないこれだけの荷物が空を飛ぶ不思議。パリの我が家に揃いのスツールを運ぶ。

 

 

 
朝方降っていた雨も止み快晴の成田へ。1980年代から拡大を続けた成田空港も今やひっそり、羽田がメインの空港になった国際線。カーゴ専用線の離発着が多く滑走路には見渡す限りコンテナが並ぶ。かつては航空会社各社が展開していたラウンジも今や共通、そしてこちらもひっそり。コロナ禍の空港を思い出す。

 

 

 
以前は席を確保するだけでも一苦労だったラウンジも今はひっそり。アボカド巻とスパークリングワイン、という組み合わせも懐かしくパリに帰る実感。ひっきりなしに離陸する飛行機は見なカーゴ便なのだろうか。

 

 

 
ウクライナの戦争が長引き、ロシア上空を飛べないため今回はトランジットでホーチミンシティーに立ち寄れる初めてのヴェトナム航空。機内は爽やかなぺパーミントグリーン、民族衣装のアオザイを着たCAのサービスも嬉しい。

 

 

 
朝方降っていた雨も止み快晴の成田へ。1980年代から拡大を続けた成田空港も今やひっそり、羽田がメインの空港になった国際線。カーゴ専用線の離発着が多く滑走路には見渡す限りコンテナが並ぶ。かつては航空会社各社が展開していたラウンジも今や共通、そしてこちらもひっそり。コロナ禍の空港を思い出す。

 

 

 
空港内のラウンジは航空会社、宗教の違いによって様々、イスラム教徒のためのハラルのラウンジもある。ヴェトナム航空のラウンジは青々とした竹林に包まれた「ロータス・ラウンジ」、ヴェトナムを象徴する蓮の花が全ての基本。

 

 

 
どこぞのレストランかと思うような美しい佇まいのラウンジ、バンブーハウスのようなコンパートメントが続く。国民食とも言える麺「PHO」とバリエーション豊富なトッピングが並び、熱々のスープが沸いている。デザートの蓮の実のムース、ドラゴンフルーツやパッションフルーツも美味しく、ヴェトナム料理を満喫する。

 

 

 
国際空港とは思えない屋台のようなお土産屋さんも楽しく、ノンを被ったクマちゃんが可愛い。工芸品はどれも繊細で美しく、アオザイを着た女性のフラコンの香水「Miss SAIGON」は爽やかなジャスミンの香り。

 

 

 
ホーチミンシティーから13時間余り、ようやく夜明け前のパリに到着。ターミナルEはアフリカ諸国と東南アジアからの発着便が多く、民族衣装を着たアフリカ人でごった返す。地震がない国ならではの細い橋脚が続く立体交差のターミナルルートを抜け、コンコルドの機体を過ぎるともうすぐパリ。

 

 

 
オリンピックを控え街中が建築現場のパリ、空港から我が家まで2時間もかかる。久しぶりのカフェは懐かしい顔が溢れ、ハグと握手でひとしきり。朝のカフェから夕方のアペリティフまで、一日中お世話になっているのは私だけではないはず。

 

 

 
荷ほどきとお掃除が終わりようやくのディナー。お気に入りのワインを開け、生ハムと柿のオードブル。チーズはサン・マルセランにクミンを添えて。時差で眠いのもいつもの事、明日も夜明け前に起きてしまいそう。

 

 

 
快晴の朝、セーヌ川を渡るとパリに帰って来た実感。ルーブルの中庭のピラミッドは既に黒山の人だかり、ルーブル宮を抜けて右岸に渡る。行先が銀行や税務署と世知辛いけれど、素晴らしい景色にパノラミックな気分になるのもいつもの事。

 

 

 
1989年頃、モードの最先端だったヴィクトワール広場にあるブティックで働いていた22歳の私。美しいギャラリー・ヴィヴィエンヌには夢のようなティーサロン、ギャラリー・コルベールにはジャンポール・ゴルティエの前衛的なブティックがオープンしたばかりだった。。

 

 

 
久しぶり来るとギャラリー・コルベールはパリ大一大学の図書館になっていて驚く。ガラス天井から差し込む光、丸窓からギャラリーを眺めつつ勉学に励む素晴らしい図書館。

 

 

 
用事を済ませパッサージュ・ショワズールの中にある大人気のヴェトナム料理のレストランへ。丸窓から行き交う人を眺めつつ頂く素晴らしく美味しいヴェトナミアンでゴキゲンなランチ。外は長蛇の列、朝の静けさがウソの様。

 

 

 
パリは空前の日本食ブーム、と言うよりもはや定着した感もある「RAMEN」や「SUSHI」。屋台ラーメンや寿司のアルファベットが並び、街中にはアサヒスーパードライのトラックが走る。ランチタイムにはどこも満々席、フランス人は本当に日本食が大好き。

 

 

 
来年に迫るオリンピックに向けて急ピッチで準備が進むパリ市内。学生の頃「バトーバス」という渡し舟で学校に通っていたセーヌ川には資材を積んだ大型船、街の至る所で舗道拡張の工事が始まり、パーキングロットは資材置き場に。

 

 

 
まだ時差が残り午後の後半はもう眠い。今晩も我が家で早目のディナー、生ハムとポテトにチーズを添えてお気に入りのロワールのワインをお供に。

 

 

 
11月のパリらしい鈍色の空に聳えるサンジェルマン・デ・プレ教会。こちらも同じくオリンピックのための工事で美しい景観とは程遠い工事現場のような姿、早く終わって欲しい。

 

 

 
大好きな蚤の市も忙しい今となってはめったに行かれない。街中にあるヴィンテージの食器やカトラリーを扱うブティックを見かけると吸い込まれるように入ってしまう。クリスマスに牡蠣を食べるための美しいお皿、フランス語で「でこぼこ」を意味するバルボティーヌの陶器に目がない私。

 

 

 
車を手放して以来、気になった所に気軽に立ち寄れるのも嬉しい。ソニア・リキエルがデザインしたサロン・ド・テがあったホテル・ルテシア、外壁のお掃除も終わりオリンピックに向けてスタンバイ。パッサージュの奥にひっそり佇むお気に入りだったレストラン、レカミエも健在。

 

 

 
左岸のシックなデパート、ボンマルシェもすっかりクリスマス。ワインコーナーには各社シャンパンのクリスマスバージョンが並ぶ。クリュッグやルイナール、ルイ・ロドレールなど見ているだけでもソワソワする美しいボトルたち。フランス人は本当にシャンパンが大好き。

 

 

 
長い間留守にしていたパリのアパルトマン、お掃除と片ずけに終われランチもディナーも我が家で。ランチは定番のアジア麺、ディナーはサラダとチーズにワインをいろいろ。手頃で美味しいワインを少しずつ飲み比べるのも楽しい。

 

 

 
11月11日は第一次休戦記念日の祝日。静かな土曜日の朝、友人のアトリエに集まる。メトロに乗るのも久しぶり、こちらもすっかりオリンピックモードで各席にUSBポートが設けられている事に驚く。

 

 

 
パリに来てスグに知り合ったアクセサリーデザイナーのステファノ・ポレッティはミラノ出身のイタリア人。右も左もわからない私にそれはそれは親切に手取足取り、様々な事を教えてくれた大恩人。コモ湖の別荘でご両親と過ごした夏、ミラノのご実家を訪ねた日・・・、アシスタントのベアトリスと共に30余年のお付き合い。懐かしい思い出話で盛り上がるアトリエの朝。

 

 

 
パリらしい梁のある美しいレストランでヴェトナム料理のランチを堪能、久しぶりにオペラの日本食街を歩く。その昔はSUSHIがメインだったこの街も、今ではラーメンやうどん、お好み焼きまでありどのお店も凄まじい大行列、その迫力に圧倒される。

 

 

 
怒涛の日本食街を抜けセーヌ川を渡ると、雨も上がりオルセー美術館を遠くに眺めつつ我が家へ。セーヌ川を渡る、この感覚こそホームの左岸に帰って来た、パリに帰って来た実感。

 

 

 
我が家の下のカフェはご近所の「よろず相談所」であり応接間。一日の終わりにほっと一息、アペリティフを楽しむ人たちでごった返す。ハグしたり握手したり、四方八方から話しかけられるのもいつもの事、お年寄りから赤ちゃんまでが週末の夜を楽しむ素敵な光景。

 

 

 
マルシェを歩くとプレ・ロティ、鶏の丸焼きが焼ける香ばしい匂い、パリに帰って来ると食べたくなる懐かしい味。茹でたじゃがいもを鶏の脂でソテーにしてサラダを添えればシンプルでゴキゲンなディナーに。ロワールの赤ワイン、シノンを併せるのが私好み。

 

 

 
パリは10月末にサマータイムが終わり日本との時差は8時間。日本時間で朝9時からの会議はこちらの真夜中の1時。早く寝て起きるのか?そのまま起きているのか?コロナ禍に急速に普及したリモートワークは便利だけれど悩ましい。

 

 

 
11月に入ると雨の日が多いパリ。小雨が降りしきる早朝、まだ夜が明けたばかりでカフェの人もまばら。カフェを飲みながら新聞を読むご近所さん、静かなパリの朝は何とも素敵。

 

 

 
留守の間に溜まった膨大な郵便物を仕分け、事務仕事に追われる一日。アパルトマンから出る事もなくひたすら片ずける。日本から持って来たお素麺、ランチにはアジア風麺料理を作る。パリに居る事を忘れそうなメニュウ。

 

 

 
友人達とのお茶やランチ、ディナーが続く来週、日本からのお土産を準備する楽しい時間。自作のグリーティングカードにメッセージを添えて、東京メトロの路線図でラッピング。相手の顔を思い浮かべながらオリジナルなプレゼントをセットアップ。

 

 

 
一日家に居る日は何かとお料理をしたくなる。みかんの皮で作るさっぱりしたママレードはヨーグルトのトッピングや、炭酸で割ったオレンジスカッシュも美味しい。飲み残しのワインを合わせてコック・オウ・ヴァン、鶏の赤ワイン煮込みを作るのも久しぶり。丁寧に下ごしらえをする静かな時間が心地よい。

 

 

 
建築家の友人のお宅にお茶に伺う。パリが一望できる夢のようなペントハウス、パリの景色に包まれて久しぶりの再会を喜ぶ。焼き立てのタルトとコーヒーをお供に尽きないお喋り、大きな猫が頷くように寄り添う。「もう35年も友達なんだね」・・・、時に流れに驚く。1987年の映画「C階段」を思い出す長い螺旋階段もパリらしい。

 

 

 
学生の頃、よくインド料理を食べに来た懐かしいパッサージュ・ブラディに立ち寄る。数あるパッサージュの中でも有名な「インド人街」、レストランに交じってスパイスや民族衣装を売る店が続き、まるでニュー・デリーの街に居るよう。インドに行った時「パッサージュ・ブラディみたい」と思ったほどインドそのもの。

 

 

 
来年のオリンピックに向けて急速に発展するパリの街。メトロも自動運転になり無人、ドアに挟まれた人を優しく見逃してくれる運転手さんはもう居ない。音もなく走り出し次の駅が見えてくる、宇宙の乗り物のような不思議な感覚も楽しい。

 

 

 
雨が上がり日が暮れ街灯が灯る、我が家へ帰るお馴染みの美しい光景。カフェは今日も一日を終えてエペリティフを楽しむ人たちで溢れる。こんなパリの日常は映画のように美しく、冷えた白ワインでようやく一息。

 

 

 
忙しい一日を終え、煮込んでおいたコック・オウ・ヴァン、鶏の赤ワイン煮が今晩のディナー、エシャロットとキノコを赤ワインで煮詰めたソースと茹でたじゃがいもを添えて。じゃがいもを一般に広めた農学者のパルマンティエ博士の名前を取って、フランスではじゃがいもを使ったお料理を「パルマンティエ風」と呼ぶ。

 

 

 
パリの冬は日照時間が少なく雨が多く暗い。天気も気にならないほど無我夢中で生きていた若かりし頃を思い出すグルーミーな朝のカフェ。重要文化財の薬局に友人のドクターの処方箋を持って薬を買いに行く。美しい天井は薬局とは思えない。外はオリンピックに向けた大工事、いつもは静かなジャコブ通りも今や資材置き場に。

 

 

 
一日中アパルトマンに篭って仕事をする日が続くと唯一の気分転換はお料理。日本から持って来たお素麺に青海苔や胡麻をトッピング、赤味噌の汁が美味しい。フルーツをワインで煮てコンポートを作ったり、ヤギのチーズでカルボナーラを作るのも久しぶり。

 

 

 
長かったコロナも終わり久しぶりに友人に会う日が続く。母が縫った小さな着物を友人のお嬢様にプレゼント、和紙で出来た「たとう」に畳んだ着物をしまう、こんな文化も説明したいもの。主人の実家の柿には、学生服を着て柿の木の前に立つ若かりし頃の写真をタグに、ギフトの準備は本当に楽しい。

 

 

 
友人のアートディレクター御夫妻のお宅に伺う。15区の閑静な住宅街のアパルトマン一棟を全て買い、6階建ての天井と床を抜き、巨大な吹き抜けのある4階建てにリノベーション、その壮大な計画を初めて聞いた時も、現場を見学に来た時も心底驚いたけれど、その完成度の高さと夢のような暮らしぶりには毎回驚かされる。

 

 

 
シンプルでモダンな白一色のインテリアと、お母さまから受け継いだジアンのお皿の組み合わせも新鮮。プードル犬のエマも一緒にアペリティフ、ほうれん草のスープに始まり、鴨と花梨のグリル、チーズの盛り合わせと焼き立てのプリン、毎回心のこもったお料理とワインのセレクションに感激する。飾らないお人柄も変わらず、長い友情に感謝しつつお喋りの夜は更ける。

 

 

 
素晴らしかった昨晩を思い出しつつミニマルな我が家でシンプルな朝食。世の中には夢のような生活をしている人は数多くいるのだろうけれど、身近な友人、それも夫婦2人の才能で築き上げた生活だという事に感嘆する。日本で一緒に過ごした日々、田舎の家を訪ねた日、亡きお母様を囲んだ時間が蘇る。

 

 

 
昔の大家さんを表敬訪問、素敵なアペリティフを用意して待っていて下さる。昨日の友人のモダンなインテリアとは正反対のクラッシックなアパルトマン。奥様はサンジェルマン生まれで生粋の「ジェルマノプラタン」でありサンジェルマンの生き字引、夢のようなアパルトマンでおとぎ話を聞くよう。日本からのお土産をとても喜んで下さり嬉しい。

 

 

 
友人を訪ね、久しぶりにセーヌ川を渡り右岸のマレ地区へ。懐かしい「KIMONOYA」は昨今の日本ブームで大人気のブティック、長く続いている数少ない本格派の日本の着物や小物を扱う貴重な存在、クリスマスを前にギフトを選ぶマダム達でいっぱい。

 

 

 
マレ地区に来ると必ず立ち寄る「イズラエル」は世界中の食品を扱う素敵なお店。スパイスやドライフルーツ、手作りのオリーブ各種が所狭しと並び、量り売りのため順番を待つ人の列が続く。オーナー御夫妻の食品対する造詣は百科事典のようで待ち時間も楽しい。

 

 

 
主人がスイスのマリオ・ボッタ事務所に勤めていた32年前、結婚したばかりの私たちはスイスのルガーノに住んでいた。ボッタの建築写真を撮っていたP氏とはこの頃からのお付き合い、結婚式のアクセサリーをデザインしたり、ポートレートを撮って頂いたり、32年後にパリで再会するとは思ってもみなかった。ナポリ訛りのイタリア語も懐かしく、感激の再会を果たす。

 

 

 
写真家の友人のアトリエがあまりにカッコよく、余韻に浸りつつ建築家の友人の事務所に立ち寄る。かつて私も住んでいた事のあるこの建物、昔はボロボロだったエントランスも今やすっかり美しくなり隔世の感がある。展覧会のプロジェクトの話を聞き、カタログを見ながらその尽きないエネルギーに驚く。

 

 

 
ポンピドーセンターのすぐ近くにある「パリ LGBTセンター」は今日も沢山の人で賑わっている。様々な人種が入り混じるメルティングポットのようなパリ、人々の趣向性も多種多様、色で趣向を表すカードもカワイイ 。

 

 

 
10月の初旬以降、美術館員のリストラ反対などの理由でストライキに入ったパリの美術館。日によっては入れない、または観賞中に追い出されるという日本では考えられない事態。それでも、人々は「ストは労働者の権利」とあっさり退散するから驚く。ガラスには「ストライキ中」の貼り紙、新しくなったエスカレーターのイルミネーションが切ない。

 

 

 
動物園の動物をや海辺の風景を題材に描くフランス人の画家、作家、デザイナーでもあるGilles AILLAUD ジル・アイヨーの展覧会を見る。1960年代フランスの新しい具象画のムーブメント「フィギュラシオン・ナラティブ  物語的具象派」の中心的人物とか。静かでシュールな画風が、静まり返った今晩のポンピドーセンターにぴったり。

 

 

 
毎回楽しみにしている「Prix Marcel Duchamp マルセル・デュシャン賞」、2023年の受賞者はスウェーデンのハムルスタード出身でパリで活動するビジュアルアーティスト、Tarik KISWANNSON タリク・キスワンソン。最終候補に残ったベルティーユ・バック、ブシュラ・ハリリ、マッシニッサ・セルマーニの作品とともに展示されている。

 

 

 
タリク・キスワンソンは1970年代にスエーデンに亡命したパレスチナ人の両親の元、白人が大多数を占めるスエーデンで自分のルーツを想起させられ、14年前にパリに移住。移民2世の彼は強制移動と追放という概念からインスピレーションを得ているという。私などには想像もつかない、果てしない物語を見るよう。

 

 

 
レ・アールがかつて中世から営まれた中央市場(レ・アール)だった事を知る人も少なくなった昨今、2016年に40年ぶりにリニューアル。パトリック・ベルジェの設計による「カノペ」、フランス語で屋根を意味する奇抜な建物もようやくパリの街に馴染んだよう。巨大なクリスマスツリーがお目見え、街はいよいよクリスマス。

 

 

 
作り過ぎたカルボナーラのパスタをオムレツにする、学生の頃からのお気に入りメニュウ。パスタを毎回作り過ぎるのもいかがなモノか?と毎回思うのも楽しい。人参サラダとフルーツを添えて、ボリュームたっぷりの朝ごはん。

 

 

 
大雨の中、税務署の長い列に並ぶ。どうして税金の請求が毎年間違って来るのか?列に並ぶマダムやムッシューと喧々囂々。私の場合、係の人が書き込んだ書類が間違っていたのだからどうしようもない。税務署に来るのはこの季節の恒例行事、帰りにアニエス・ベーのブティックで和むのも恒例のコース。

 

 

 
1998年に開通したメトロ14番線は、パリ最新のメトロ路線。無人の完全自動運転で駅と駅の間に温室があったり、駅舎のデザインも近未来的でテーマパークの乗り物のよう。この路線が開通したおかげで13区はぐっと近くなり人気の居住区になった。パリでは珍しい立体交差の通りは、なぜか代々木八幡に似ている。

 

 

 
すっかりお洒落なエリアに様変わりした13区。アートディレクターとピアニストの友人と久しぶりのランチは、クラシックなフレンチのメニュウを斬新な素材使いでアレンジした超人気のレストラン。インテリアも同じくクラシックなレンガにモダンなライティング、予約なしで来た人たちが次々に帰って行く。

 

 

 
ヴァニラ風味のカブのポタージュは真ん中に半熟卵、仔牛のクリーム煮にポロネギ、ニョッキに生のマッシュルームと、どれも素材の組み合わせが面白い。不思議なブルーのライティングの中お互いのお皿をパチリ、オススメの展覧会やコンサート 、近況報告とお喋りは尽きない。

 

 

 
大雨の中、パレ・ド・トーキョーへ。廃墟を思わせるむき出しのコンクリートの巨大な空間に企画展が次々と展開され、ヴェネツィア・ビエンナーレのようにひたすら現代アートを見続ける。見終わった後、爽やかで自由な気持ちになるのも毎回の事。アートセラピーとも言える大好きな美術館。

 

 

 
ヴェネツィアで出会って以来、すっかり意気投合したイタリア人とフランス人カップルのお宅へディナーに伺う。サロン側の夜景と中庭の森の匂い、キャンドルを灯したアペリティフのしつらえも素晴らしく、大音量のヴィヴァルディでお出迎え。日本からのお土産に大喜びして下さり早速暖炉の上にディスプレイ、2か国語のお喋りも楽しい。

 

 

 
左岸のサンジェルマンから右岸に行くにはセーヌ川を渡りルーブル宮の中庭を突っ切るのが一番早い。仕事に追われる日々もこの美しいこの光景に何度癒されたことか、帰国前に片付けなければならない膨大な懸案をしばし忘れる。

 

 

 
パリ市は車を追い出そうと躍起になっている最近、完全車禁止のノーカーデーは大気汚染と騒音の軽減が目的。自転車の利用を奨励し、パリ市内の自転車専用道路の整備は急ピッチで進んでいる。目抜き通りであるリヴォリ通りは数年前から一般車の通行を禁止するという大胆な規制、コロナ禍を思わせるクリーンな朝のパリ。

 

 

 
車族にとっては本当に住みにくくなったパリ。ただでさえ少ないパーキングロットは次々に乗り合い自転車の駐輪場に。コロナの影響で公共個通機関を使わない自転車やキックボード、危なすぎる電動一輪車などあらゆる乗り物が縦横無尽に走り、追突や接触も日常茶飯事。

 

 

 
最近は13区のチャイナタウンに行かなくてもアジアの食材が豊富なパリのスーパー。テイクアウトのお寿司が飛ぶように売れるランチライム、日本人の私がパクチーを抱えタイ風ランチの準備にいそしむ。パリの食は本当にコスモポリタン。

 

 

 
11月の第3木曜日はボジョレー・ヌーボーの解禁日。その昔は街中のカフェがお祭のように盛り上がったけれど、最近はその人気もすっかり陰りあまり話題にならない。ミレジムのような重さより爽やかな軽さが好きな私は季節の風物詩としてまずはワングラス、ボルドーから来た友人と久しぶりの再会を祝う。

 

 

 
ワインのラベルやボトルのデザインはその地方、街それぞれの紋章や旗があしらわれていて興味深い。主人はボルドーやブルゴーニュのワインを幅広く飲むけれど、私はロワールのワインが好き。鶏の赤ワイン煮込みは煮詰まるほどに美味しくじゃがいもとの相性もぴったり、フランスのじゃがいもは本当に美味しい。

 

 

 
土曜日の朝だというのに大雨と街中の工事のため大渋滞、環状線も高速も混んでいて、空港に到着したら今度は通関と手荷物検査の列は果てしなく卒倒しそうになる。辿り着いたラウンジでようやく一息、これからは大げさではなく5時間くらい前に家を出ないと乗り遅れる時代が来たのかも。コロナ禍の閑散とした空港が懐かしい。

 

 

 
それにしてもスゴイ雨、横殴りの暴風と大粒の雨で機内に入っても揺れる揺れる。11月のパリは雨が多いとはいえ、今回ばかりは晴れ男の主人の神通力も通じず、延々と雨が降ったパリ。

 

 

 
 
trip index 高度が上がり水平飛行になると真っ青な青空と雲海、いつもの光景に癒される。久しぶりのエール・フランスは新しい機材、馴染みのパーサーからシャンパンのプレゼント。パリに向かう飛行機と交差するのが肉眼で見え驚く。シートに身を沈め忙しかったパリの日々を想い深い眠りにつく。
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